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コンパーノ スパイダー(茶色の小瓶)

Compagno Spider

/茶色の小瓶/

「こんにちは、こんにちは、世界の国から・・・♪」

買ったばかりのカラーテレビから三波春夫さんの歌う大阪万博のテーマがこれでもかと聞こえてくる。

 

【1970年夏】

 

これまで家族旅行とか家族サービスとかにまった関心の無かった父親が・・・

「万博行くか?」と言った。

 

耳を疑った!!!

冷房のきいた快適な新幹線で大阪へ、

夜は100万ドルの夜景が一望できる高級ホテルで豪華なディナー・・・

夢は頭を駆け巡るが父親の話には大抵裏がある。

さすがに社内でも話題といえば万博一色、

なかにはもうすでに3回行った人もいて話についていけないし第一バツが悪い。

仕方がなく行く旅行である。

 

父親の作戦は・・・

まず近所に遊びに行くことを悟られないように夜ひそかに出発。

その際ライトすら点けない徹底ぶり。

【気づかれるとお土産を買ってこなくてはいけない】

クーラーの無い車で高速は使わずひたすら下道を進む。

その間流れるBGMは父親の好きな演歌のみ。

弁当・水筒持参、途中一切の休憩なし。

夜は大阪のおばちゃん家に無理言って一泊だけ泊めてもらう・・・

なるほど思い描いたイメージとは見事に180度違う。

 

はっきり言ってもう今回の旅行にすっかり興味をなくした家族を乗せ、

ホイールキャップが一つ無くなったパブリカDXは大阪へひた走る。

夜のうちに無事おばちゃん家に到着。

迷惑な時間にもかかわらずおばちゃんは優しく迎えてくれた。

おばちゃんの笑顔が今回の旅の一番の収穫かもと思いながら泥のように寝た。

 

次の日。

今回の【いやいや万博旅行】と命名した旅にすばらしい転機が訪れた・・・

昨晩パブリカを駐車場に止めるとき並んで駐車してあった赤いクルマ、

気にはなったけど休憩なしの大阪までの強行軍、

疲労困憊でそれどころではなかった。

朝おばちゃん特性のホットケーキを頬張り元気が出たところで聞いてみた・・・

 

「横の赤いクルマは誰の?」

 

「ヒロユキの車やわ」と、おばちゃん。

 

従兄のクルマだった。

しかも・・・

その赤いスポーツカーで会場まで乗せていってくれるらしい♪

 

「まんだ大阪にも何台もないクルマやで!最高160キロ出るんや!出したことないけどな♪」

 

自慢話が嫌味に聞こえないおばちゃんに似て丸顔の優しいにーちゃんである。

今回送っていくためにわざわざ洗車して楽しみにしていてくれたらしい。

けどオープンカーでどうやって4人?

コンパーノ・スパイダーは4座だった♪

 

イタリアのカロッツェリアがデザインした目を引く洒落た内外装。

ツインキャブ化され排気量もアップされたスパイダー専用エンジン。

2本出しのエキゾーストパイプ。

 

ジャズ好きの従兄の運転でいざ万博へ♪

 

父親は陽が当たって暑いとぶつぶつ文句を言っていたが、

私は後ろの席でオープンの開放感を思う存分味わった。

 

 

 

 

8トラックステレオから流れるはグレン・ミラー・オーケストラ“茶色の小瓶”♪

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